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zoom RSS 宮尾登美子「天璋院篤姫」上巻

<<   作成日時 : 2008/02/02 01:52   >>

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今年の大河ドラマの原作、「天璋院篤姫」を読むことにしました。
講談社から出ている文庫版の上下巻を買って、上巻を読み終えた
ところです。



注:ここから先は小説およびドラマのネタバレを含みます。


宮尾登美子さんは著作が何度も大河ドラマの原作になっている、超有名な
作家さんですが、私は宮尾さんの本を読むのはこれがはじめて。読む前に
「今年の大河がつまらないのは原作のせい」なんて声も聞いてたので、
ちょっと不安もあったのですが…。

内容については今更説明するまでもないと思いますが、この小説は徳川幕府
第13代将軍家定の御台所篤姫の波乱の生涯を描いた歴史小説です。
薩摩藩藩主島津家の分家に生まれた姫が、その才覚を見込まれて藩主斉彬の
養女となり、斉彬からある密命を受けて将軍家定の正室として江戸城に入り
ます。最初は養父斉彬の命を果たさんとしていた篤姫でしたが、御台所となって
見聞を広めていくうちに、その考えは変わっていき…。

「原作は原作、ドラマはドラマ」というのは原作つきドラマor映画の鉄則ですが、
今年の大河「篤姫」も、原作とはかなり違うようです。ドラマは篤姫が斉彬の
養女となるまでを延々とじっくり描いていますが、小説では結構
あっさり。お由羅騒動についても、ドラマ同様これこれこういうことがあった、
という程度にしか出てきませんでした。もっとも、このお由羅騒動は斉彬が
藩主になったことで決着がついたわけではなく、斉彬の死後(これは下巻の
始めごろ)にも出てきたので、ドラマでもまた出てくるかもしれません。

斉彬の養女になって将軍家定の正室になるまでも結構淡々としていますが、
篤姫が最初は反発していた老女の幾島と、苦楽をともにするうちに強い絆で
結ばれるあたりは面白かったです。薩摩から江戸への道中、外洋を渡る船の
中での意地の張り合いとか。篤姫も幾島も船中でゲ○吐きまくりという、とても
ドラマで再現できる内容ではないんですけどね…。

小説の篤姫は心身ともに脆弱な父と兄に囲まれて育ったため、子供の頃
から“私がしっかりしなければ”と心に決めています。その気持ちが
あったから、病弱な将軍家定を気丈に支えることができたのだ、ということに
なってます。家定公には従来“暗愚”のイメージがつきまとっていますが、この
小説では腺病質的なところがあるものの、将軍職の重責を理解していてなおかつ
歴史のうねりを嗅ぎ取る鋭い嗅覚を持っていた人として描かれています。それ
ゆえに自分の脆弱さに苦悩していた、と。病弱で繊細な将軍と、夫を優しく支える
篤姫の図は、なんだかフランス王に即位したばかりのルイ16世とマリー・アントワ
ネット(注:私の知識はベルばら止まりです)にも似ているような…
どっちも○○○○レスだしな(←おい)。

冗談はさておき、この小説では篤姫が大奥を取り仕切って幕末の動乱を生き
抜いたのは、夫に愛され子を産み育てるという「平凡な女の幸せ」を得る事が
できなかったから、ということになっています。その分「なにくそー」と奮起する
ことができたとかなんとか。うーむ、一理あるようなないような…。源氏物語の
頃から、“女の幸福に完璧なものはない”って言われてますけどねぇ。紫の
上の晩年とか。それでも小説の中では、一般的な夫婦の関係ではないにせよ
家定と篤姫は真実心が通じ合っていた、となっています。篤姫のために将軍が
カステラを作ってあげたり、寝所でサツマイモ談義したりしてるのは微笑ましかった
です。このへんはドラマでも出てくるかもしれませんね。

幕末が舞台ですが、小説はドラマと違って幕末の志士はほとんど出てきて
いません。なんせほとんどが大奥の中の話ですから。出てきたのは西郷どん
だけでした。あとは幕末の志士じゃないけど老中の阿部正弘とか?小松常刀は
いつ出てくるの?と首をかしげてしまいます。六平太だって原作の小説に
出てきてたのに。つか、阿部正弘の死因が腎虚って…いいのか?どうする、
NHK?当然、変えてくるだろうなぁ。。。

あと、上巻で一番印象に残ったのは、
30過ぎた女は夫の寝所に侍れない
という武家のしきたり。当時は30を超えた女性が懐妊しても難産になる
確率が高く命の危険があるため、というのが理由のひとつだそうですが…
なんか、ショックですわ。

斉彬が篤姫に託した密命とは、「次期将軍に一橋慶喜を推す事」だったの
ですが、斉彬の願い空しく14代将軍は紀伊の徳川慶福(のちの家茂)に
決まってしまいます。ここで上巻が終了。養父斉彬の期待を裏切ってしまった
篤姫の運命は…?

というわけで、上巻の感想はここまで。面白かったですが、上にも書いたように
大奥での篤姫の懊悩に終始しているので、あまり歴史小説としての盛り上がり
は感じませんでした。下巻から変わってくるのかな〜?



新装版 天璋院篤姫(上)
新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

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日本一の男・肝付尚五郎!!
斉彬から於一に「日本外史」が届くとは驚き ですね{/cat_5/} 「日本外史」は前回の大河ドラマ風林火山で、 第四回川中島の戦いを『鞭声粛々夜河を過る…』 と漢詩で表した頼山陽が書いたものなのです。 後の尊皇攘夷思想の元になったとも云われている 書物なのです。 察するに、斉彬はこの頃尊王攘夷の考え方を持っ ていたのでしょうね{/v/} 特に攘夷、外敵に立ち向かうと云う考え方が強か ったのではないでしょうか{/eq_2/} 斉彬のこの考え方の延長線上に薩英戦争があった のかも知れません。 それに... ...続きを見る
函館 Glass Life
2008/02/04 14:39
篤姫・第5話
天璋院篤姫のすべて芳 即正新人物往来社このアイテムの詳細を見る ...続きを見る
ブルー・カフェ
2008/02/04 16:07
篤姫(2月3日)
尚五郎お見事!!! ...続きを見る
今日感
2008/02/04 21:04
宮尾登美子: 天璋院篤姫
【覚書】★★★★★★★☆☆☆ 十三代将軍徳川家定の御台所(正室)で、その後江戸城の無血開城を迎えるまで大奥を束ねていた天璋院が主人公の小説。 薩摩藩の分家から本家の養女となり、ついには将軍の御台所と... ...続きを見る
時代小説県歴史小説村
2008/03/23 21:07

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
もちきち師匠、こんにちは。

>読む前に「今年の大河がつまらないのは原作のせい」なんて声も聞いてたので、ちょっと不安もあったのですが…。
え?そうなんですか?でも昨年の大河の原作なんてちょ〜薄っぺらじゃないですか?原作と言うより脚本・・・役者・・・演出・・・???

>斉彬が篤姫に託した密命とは、「次期将軍に一橋慶喜を推す事」だったのですが

でもこの時、慶喜が将軍になっていたら「和宮」のご登場もなかったかもしれないし、何よりより早く江戸幕府に幕が下りて・・・って最初からそれ(倒幕)が狙い!?え?桃太郎〜!
なおみ
2008/02/04 16:18
>なおみさん
「つまらない」と言われるのは、宮尾さんの作品は何度も大河ドラマになってるので、目新しさがないからかもしれません。去年の大河はオリジナルパートが好評でしたが、今年はどうなるんでしょうね。
>最初からそれ(倒幕)が狙い!?
そこなんですよ、ドラマでどう扱うのか気になるのは…。
もちきち
2008/02/04 21:39

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