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zoom RSS 鈴木由紀子「最後の大奥 天璋院篤姫と和宮」

<<   作成日時 : 2008/02/28 00:34   >>

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大河ドラマに便乗してなのか、本屋で篤姫関連の本を見かけることが多くなりました。その中で気になったのがこの「最後の大奥 天璋院篤姫と和宮」(鈴木由紀子著、幻冬舎新書)でした。この本の第一刷発行日が2007年11月30日、私が買った第四刷の発行日は2008年の2月6日…結構売れてる?





ドラマの原作になってる宮尾登美子さんの小説は面白かったのですが、気になったのが、文章の末尾に「〜ではなかろうか」「〜であったという」「〜だったらしい」が多いこと(特に前半)。なんというか読んでて心もとなくて、「手探りで書いてるんだろなぁ」という感じ。学術書じゃなくて小説なんだから、もっと堂々と書いてくれればいいのに、と。

で、今回の「最後の大奥 天璋院篤姫と和宮」は小説ではなく研究者のレポート。新書なので硬い内容ではありませんが。小説は天璋院寄りのところが多々ありましたが、タイトルが示すとおりこの本では天璋院と和宮は対等に書かれています。堀北ファンの私としてはちょっと安心(何のこっちゃ…?)。

本の内容は、まず最初に篤姫が生まれる以前の、徳川将軍家と薩摩藩島津家の関係から。ここが予想外に長くて(しかもややこしい)、本の3分の1近くあります。篤姫どころか斉彬すらなかなか出てきません。まあ、この頃の話がなければ篤姫が将軍の御台所になることもなかったでしょうから、必要なんでしょうけど。斉彬が非常に影響を受けた曽祖父、島津重豪のエピソード(シーボルトとの会見等)が面白かったです。機会があれば重豪や島津家について詳しく書かれた本も読んでみたいと思います。

中盤に入ってから、やっと篤姫が登場。しかし資料が乏しいのかページ数に限りがあるからなのか、薩摩時代の話はほとんど出てきませんでした。篤姫の夫の家定については、大体小説に書いてあったのと同じでしたが、ヒッキーなのかと思いきや意外と外に出るのも好きで、鷹狩りの帰りにショッピングをするのがお気に入りだったそうです。きっとマイ○ル・ジャ○ソンみたいに、欲しいものは指差すだけでゲットできたことでしょう。

前に冗談で家定と篤姫のことを「ルイ16世とマリー・アントワネットみたいだ」と書きましたが、同じ言葉がこの本にも出てきたのでちょっとびっくり。ルイ16世とアントワネットの間には子供がいたし、篤姫は“ごはんがないならかるかんを食べればいい”なんて言ってませんけどね。

小説の篤姫は斉彬から「次期将軍に一橋慶喜を薦めるように」との密命を受けてましたが、これについてはこの本も概ね同じでした。さすがに斉彬が「倒幕」を企んでいた、とはありませんが。しかしこの新書でも慶喜は人気がなくて、あまりいい評価をされてません。小説では篤姫に初対面から嫌われてましたが、実際に斉彬も慶喜の人となりには危惧するものがあったようで、同じ慶喜擁立派の松平慶永に宛てた手紙に「(慶喜公は)御慢心になられているので、お慎みになるよう話されては」と書き添えたこともあるそうです。父親の水戸斉昭がセクハラ大名として大奥で総スカン食らってるし、大河ドラマにもなったわりには慶喜はいいとこなしです。

しかし斉彬の願いもむなしく、家定のあとを継いだのは紀州松平家の家茂。小説もそうでしたがこの本でも家茂は“幼い頃から聡明で家臣への気配りができ、眉目秀麗”とほめられまくり。政略結婚ながらも正室の和宮との夫婦仲は円満で、晩のおかずのことでケンカしたという記録はありません。家茂の唯一のウィークポイントは生母の実成院で、とても派手好き遊び好きな人だったそうです。嫁と姑の対立といい、家茂は女運が悪かったみたいです。

ここでやっと名前が出てきた和宮ですが、「天璋院篤姫」ではあまり良く書かれてなかった彼女も、この本は聡明な女性として書かれています。まあ、そもそも戦う(?)相手が天璋院なのですから、朝廷もそうアホな姫を送ったりはしないと思います。小説では和宮は色が黒いことにされてましたが、実際は色白な方だったそうです。写真(白黒)も載ってましたが、等身大のお雛様みたいでした。ただ、姑である天璋院への贈り物に「天璋院へ」と敬称を書かなかったり、御台所と呼ばせず京風を押し通そうとしたりと、和宮降嫁が大奥に混乱を招いた事は事実のようです。政治的なことも絡んでいるし、既に許婚との結婚が決まっていた和宮を強引に降嫁させたのですから、嫁と姑の単純な対立というわけではないのでしょうが。

家茂の死後、慶喜を次期将軍にするかどうかで天璋院と和宮は意見が分かれたそうです。和宮(朝廷側)は慶喜推薦派だったのですが、その後慶喜の不誠実な態度に和宮も不信感を抱くようになったとのことです。「敵の敵は味方」なんて言いますが、ひょっとしたら天璋院と和宮の和解には慶喜が一役買ってたのかもしれませんね…ってホントかよ。

しかし将軍慶喜の時代はあっという間に終り、時代は明治へ。ここから先は大河OPクレジットのトメ要員、勝海舟の独壇場です。海舟が残した「海舟語録」と、海舟の三男梅太郎と結婚したクララ・ホイットニーの「クララの明治日記」からの引用で明治を生きた天璋院の様子が紹介されてました。そのアットホームな雰囲気に、天璋院と勝海舟の結びつきの深さが窺えます。
ホワイト父さん、大活躍です。もう「正月のドラマで毘沙門天だった人」なんて言わせません。

小説でも幕末の志士と言われる有名人はほとんど出てきませんでしたが、この本も有名人は勝海舟と西郷どんくらいしか登場しませんでした。まあ、勝海舟と西郷どん以外は天璋院に会う機会なんてなかったのですから、当然と言えば当然ですが。

小説「天璋院篤姫」での天璋院と西郷どんの関係はあっさりというか冷淡なものでしたが、天璋院は徳川家存続のための嘆願書を西郷に送ったりしているので、天璋院は西郷を高く評価していたようです。多分ドラマだと西郷どんと天璋院の間に尚五郎が入るんでしょうねぇ(遠い目)。だったら尚五郎の役割をそのまま西郷にシフトしちゃえばいいのに。って瑛太じゃ西郷どんは無理か。

紹介されてるエピソードは小説と被っているところが多かったですが、幕末に関する知識が乏しい私にとっては入門書として面白く読めました。とりあえず今一番気になってるのは
なぜ慶喜はここまで嫌われてるのか
なので、次回は慶喜に関する本を探して読んでみたいと思います。

最後の大奥天璋院篤姫と和宮 (幻冬舎新書 す 2-1)
最後の大奥 天璋院篤姫と和宮 (幻冬舎新書)

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大河ドラマ・篤姫「第20回 婚礼の夜」
NHK大河ドラマ 「篤姫」 ...続きを見る
息吹きの響き
2008/05/17 16:37

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
もちきち師匠、こんにちは。携帯環境から失礼します。
ナイスレビューじゃないですか?TBはいまかいまかと待っておりましたのよ〜うう〜ん!
「慶喜が嫌われる理由」・・・そりゃやっぱ「性格」に問題あり、なんじゃないでしょうかね?「誠実さ」がないってか。
モックンが演じた大河では「大政奉還」で終わったんですよね、確か。あの後が本当は凄く大変な展開だったのに、自分だけさ〜。みたいな?「カマキリ将軍」のイメージが強くありますよね。ま、あの親父を見て育てば、変人にもなるかな?
なおみ
2008/03/10 15:04
>なおみさん
あっ、トラバ忘れてました〜!!gooブログの方をしときますね。
>「性格」に問題あり
ああ〜、江守徹の息子ですもんね。そりゃ問題ありますわなぁ。今年の大河ではどうするつもりなんでしょうね。ここで実は結構いい人みたいに描かれたら、“さすがスイーツ大河!!”と褒めて(?)あげるところですが。
もちきち
2008/03/11 00:13

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